歴史と文化の街、古都フエのご紹介

ベトナム中部にあるトゥアティエン=フエ省フエ市は、ベトナム最後の王朝であるグエン王朝の京城が1802年から1945年までおかれた土地です。現在では人々から愛すべき故郷「古都フエ」と親しみをこめて呼ばれます。

ハノイから南に約700km、ホーチミンから北に約1000kmに位置するフエ市はフエ省行政の中心地です。フエ省の面積は5,030㎢、人口約120万人、またフエ市の面積は71㎢、人口約36万人です。

〇歴史

古都フエについて述べるには、グエン王朝(1802-1945)の太祖ザーロン帝から最後の皇帝バオダイ帝まで思い出す必要があります。さらに、グエン王朝について述べるなら、このフエの地を開拓したグエン王朝の祖先にあたる広南朝(1558 - 1777)の9代にわたるグエン王について言及すべきでしょう。新しく即位するたびに、王は首府の位置を変えました。そして1738年にフエの富春が首都になりました。広南朝のグエン・ホアン王(在位1558-1613)の時から、広南朝は日本と貿易関係をもちました。グエン・ホアン王と後をついだグエン・フック・グエン王は徳川家に日本とベトナムの貿易を商う商人を招く手紙を何度も送りました。

1802年広南朝の子孫であるグエン・フック・アインは西山朝から祖国を取り返し、グエン王朝をひらきザーロン帝として即位しました。フエの富春はこの越南国グエン王朝(1802-1945)の首都となり、143年間存在しました。ザーロン帝から後を継いだ12代にわたる皇帝によって、フエの富春は越南国の行政・文化・権力の中心都市として築かれました。南北を統一し、国土が拡大されるのを反映して、各地の文化がフエに集約されていきました。

〇遺産

古都フエにあるグエン王朝の最もおおきな功績は、世界的に傑出した価値をもつ文化を形成し、ユネスコに認定された5つの遺産です。それは、グエン王朝時代に建立された王宮・皇帝陵・寺院・廟堂などの遺跡群(1993年に世界遺産に認定)、越南国の宮廷雅楽(2003年無形文化遺産に認定)、ユネスコの世界の記憶(世界記憶遺産)に属する資料遺産である行政文書の集合体であるグエン王朝の木版(2009)とグエン王朝硃本(2014)、王宮に書かれた漢文詩(2016)です。

フエ省は1,000近い遺産をここに残した歴史、そして複数の遺産がユネスコに認定されたこと、さらに国家クラスの遺産として認定されている140近い遺産(文化歴史遺産、革命遺産、宗教建築遺産)をもつことから、遺産が豊富な地として知られています。フエの衣装、生活習慣、料理、伝統工芸産業はベトナムの格別な文化を体現し、きわめて価値があるものです。フエ省の無形文化遺産には宮廷文化、民間文化、宗教文化、美術工芸、伝統産業、風習の様式が含まれています。特筆すべきフエの文化価値は、伝統的な民間祭礼、宮廷祭礼、工芸祭礼を集め研究し徐々に復興させたことです。これにより観光発展の需要に仕え、国際文化交流を拡大しています。

〇文化

古都フエは高尚で優雅な生活様式を生み出した地でもあります。その様式は王宮の中の高貴な女性や貴族の御曹司だけでなく、人民の間にも広がりました。そのひとつである、しなやかな紫のアオザイには清雅な生活の上品なものごしを見ることができます。

フエではアオザイが世に現れてから、高貴な身分の人だけでなく、女性はみんなこの伝統衣装を着ており、この風習は今日まで保たれています。市場の女性や、荷物をしょって歩く女性、若い女学生まで、みんなアオザイを持っています。今日のフエの女性は、フエの特徴である紫のしなやかなアオザイを好んでよく着ます。

フエの人々は自然と植物に親しみを持っています。その心は建築にも現れており、過半数の家は外向きに目を向けて建てられ、家の中や庭には植物が多くおかれます。その建築の典型的な例は庭園屋敷群で、フエに訪れるとこの伝統的な建築様式を見ることができます。

〇教育

フエの人々について考察すると、彼らの資質の美しさを必ず見ることができます。フエの地は多くの人材、著名人物(グエン王朝のミンマン帝、ティエウチー帝、トゥドゥック帝、詩人のトゥン・ティエン・ブオン、トゥイ・リー・ブオン、愛国家のファン・ボイ・チャウ、ホーチミン主席、首相のファム・バン・ドン、将軍のボー・グエン・ザップ、詩人のトー・フー、作曲家のチン・コン・ソン)を教育し育てたゆりかごでした。これらの著名な人物にゆかりのあるフエの史跡は、クオックホック高校です。ファン・ボイ・チャウ記念館は氏が1925年から1940年までフランス軍に軟禁されていた場所です。ここにはファン・ボイ・チャウ像と“東遊(ドンズー)運動”の記念碑があります。東遊運動とは20世紀のベトナムでファン・ボイ・チャウが起こした革命運動で、国家独立の力を得るために、ベトナムの青年を外国(主に日本)に留学させました。東遊運動を通して、ファン・ボイ・チャウは20世紀のベトナム解放運動に大きく貢献しました。特筆すべき点として、日本で活動していたとき、ファン・ボイ・チャウは日本人医師の浅羽佐喜太郎から多くの援助を受けました。これは今日のベトナムと日本の友好関係の第一歩であるといえます。

〇料理

フエの多種にわたる料理は文化的特徴のひとつです。フエにたくさんある大衆料理はフエの田畑、湖沼、山の素材を使用しており、素朴ですが、とても美味しいです。一方、宮廷料理は芸術的なまでの装飾でもって、豪華かつ洗練された料理となっています。ほかに四季の特産料理は1,300以上あります。特別なのはフエの精進料理、工夫がとてもこらされており美味しいです。ほかにも様々な味がある数十種類の粉もの料理やチェー(ベトナムのデザート)はいずれも格別な喜びと忘れられない印象を食べた人にもたらします。

〇観光資源

フエ省には山、丘、平原、湖沼、海などの自然観光資源があります。バックマー国立公園はベトナム最大の国立公園の一つです。

他に沿岸128kmある海、フォーン川、グー山、バックマー山、ハイヴァン峠、カンズオンビーチ、トゥアンアンビーチ、22,000haの東南アジアで最大規模のタムジャン - カウハイ湖沼があります。さらにタインタンとミーアン、アーロアンには泉質が素晴らしい温泉が、ランコー湾には世界で最も美しい湾として認定された湾があります。

〇現代のフエ

グローバル化時代に入り工業化、近代化をすすめるなか、フエの文化には様々な影響がありました。しかし、フエ省は常に独自のアイデンティティを保持し、現代と伝統の調和のとれた発展をしてきました。また、伝統的な民間祭礼、宮廷祭礼、宗教祭礼など、たくさんの祭礼も保持してきました。さらに2000年からは新しいフェスティバルをつくり、現在まで定期的に開催しています。それは国際アートフェスティバルであるフエ フェスティバル(偶数年に開催)とフエ伝統工芸フェスティバル(奇数年に開催)です。

古都フエはかつてベトナムの政治、文化そして教育の中心地でした。

現在でも偉大な教育の中心地として認められています。フエ大学は7つの系列大学、3つの付属校、多くの短期大学、研究院を含んでいます。

またベトナム中部の医療の中心でもあり、研究をすすめ医療の発展に力をいれています。フエで一番大きい病院であるフエ中央病院は国内で最良な3つの病院の一つとして評価を得ています。

そして現在、フエは「遺産の都フエ」として新しい段階に歩みを進めます。

伝統と現代、古きと新しきの調和をとることで、“One destination – five heritages”を指標にフエのブランドを世界トップクラスに向上させます。

フエ省はベトナム観光の中心としてふさわしくあるよう、観光業を経済産業の先鋭にするべく尽力していきます。

提供:トゥア・ティエン・フエ省観光局